2012年12月20日木曜日

つきつめて想像する。

高野悦子さんの日記をまとめた『二十歳の原点』を基にした創作の練習が続きます。この本は、私ぐらいの世代にとってはまだ親しみがあろうと思いますが、1980年代以降に生まれた方にとっては、今回初めて名前を聞いたぐらいかもしれません。
 なにより、この本が書かれた頃(1969年頃)の若者が考えていたことは、今の20歳とはずいぶん違う気がします。もちろん若者が悩んだり、葛藤したりする感覚はそう変わっていないとは思いますが、価値観や社会の様子はだいぶ違っているように思います。
 演出家のこだわりは、まず「人が生きているリアリティー」を芝居に出現させること。そしてさらに、おそらくその背後にある社会的な(時代背景を伴った)「リアリティー」を感じさせることも求めているに違いありません。特に後者は、かなりハイレベルな要求だと思います。時代の様子や、状況を資料を元に外面的にとらえる(観念的に理解する)ことはそう難しいことではありませんが、身体性を伴ってとらえることはプロの俳優でもなかなか難しいように思います。人がどういう心持ちで生きていたかや、どんな価値観を持って生きていたかなどは、結局想像してみるしか手が無いないと思います。しかも、頭での想像ではなく動きや、仕草に現れるレベルで。
 そんな経験はこうしたことでもなければ、なかなかしないことでしょう。
 彼らが熱心に「日記」を読み解き、それを身体化しようとすることは、まさに劇的な行為です。そんな作業を見ていると、演劇は時代や人を鋭くみつめる装置なのだと感じます。彼らが60年代にどう迫るか、期待したいと思います。

2012年12月16日日曜日

タカノエツコさん手記より

引き続き、創作。
1月中旬までに12個の10分間のシーンをまとめていきます。

もう何回か創作に取り掛かっていますが、段々とスムーズになり、要点を捉え質が上がっていっています。また、自らの創作による効果が随所で出てきています。


自分たちで創作したからこその間、実感を伴う感触。そして、他の班のダメ出しを各自が必死におっています。自らの創作するための糧にしようとしているのが印象的でした。

それとタカノエツコさんと私の父が同じ立命館、日本史専攻であったことを知り、驚きました。

2012年12月13日木曜日

過去のかおり

劇研アクターズラボ+烏丸ストロークロック




12/8 左京西部いきいき市民活動センターにて

学生運動の時代、京都に生きた「タカノエツコ」さんの手記を元に、10分間の創作に挑みます。1月中旬までに12個つくるのが目標です。

前回で2つ。道のりは長いですが、メンバーでチーム、シーンを決め、創作していきます。


全体で4チーム。2〜3人の組みとなります。毎回のラボに合わせての創作。自主練の日々が続きます。発表ごとに柳沼さんの感想があるのですが、全体で共通して集約していく部分がありながら、構成がすっと上手くいくような、メッセージが浮かび上がってくるようなアイデアを提示します。
今回、ぐっと引き寄せられる瞬間が何度かありました。過去の情景が立ち上がり、過去の匂いがしてくる瞬間。その時が一番魅力的です。
過去が垣間見えるとき、それは現代よりもピリピリと張りつめていています。
引き続き創作が続いていきます。