今日はハナレズの稽古です。
みなさんが宿題として創作してきた、失われた景色の作品発表です。
予備知識なく発表を見せていただきました。
演技の技術的なことはさておいて、参加者のみなさんが真剣に作品に向き合い
事前に何度も稽古をおこなっていることのわかる、質の高い発表でした。
何よりも一人で舞台に立つことの勇気に感じ入りました。
相手役とやり取りをしたり、お客様に話しかけたりというのは
外に発していく度合いが強く、その対象に寄りながら相乗で作っていけます。
しかし一人で舞台に立つときは、相手役も自分の中で想像し創造しなければなりません。
今回はそれに加えてその場の景色も表現しなければなりません。
なんと難度の高いことをと驚かされます。
一人よがりの演技というものがあります。
目の前の相手やシーンの状況や脚本の意図を無視して自分の中の思い込みで演じることだとします。
それではその一人よがりの演技は、周りに何もなければ成立するのでしょうか。
おそらく成立しません。
みなさんの発表を見て、そうなのかと気づかされました。
どちらも一人で演じていることは同じです。
しかし片や自分の中だけで完結し、発することにこだわるのに対し、
みなさんは周りの景色ややり取りをしている対象をいかに明確にし受け止めるかということに苦心するのです。
自分の外にあるものをできるだけ自分から切り離して強く想像し、
それを観ている人に明確に伝えるために感覚を開いて受け止めていく。
場所に入ったときを丁寧に表現すること。
思い切って演技をすること。
つまりはその場にいる感覚を大きくすること。
周りへのイメージを細かいところまでつめていけば、単純に動きや所作が変わってくるでしょう。
またイメージから受ける度合いを強くすれば、対象をもっと明確に表現できます。
そしてそのイメージと出会う瞬間が一番の勝負なのでしょう。
次回の稽古で指針をふまえて創作したものを発表し、
その次の稽古ではみなさんのお友達を稽古場に招き10分の作品を観てもらうそうです。
初めて観る方にどんなイメージが見えてどんな反応が起こるのか楽しみでなりません。