2012年9月26日水曜日

何もない空間で、一人で演じる。


今日はハナレズの稽古です。
みなさんが宿題として創作してきた、失われた景色の作品発表です。
予備知識なく発表を見せていただきました。
演技の技術的なことはさておいて、参加者のみなさんが真剣に作品に向き合い
事前に何度も稽古をおこなっていることのわかる、質の高い発表でした。
何よりも一人で舞台に立つことの勇気に感じ入りました。
相手役とやり取りをしたり、お客様に話しかけたりというのは
外に発していく度合いが強く、その対象に寄りながら相乗で作っていけます。
しかし一人で舞台に立つときは、相手役も自分の中で想像し創造しなければなりません。
今回はそれに加えてその場の景色も表現しなければなりません。
なんと難度の高いことをと驚かされます。
一人よがりの演技というものがあります。
目の前の相手やシーンの状況や脚本の意図を無視して自分の中の思い込みで演じることだとします。
それではその一人よがりの演技は、周りに何もなければ成立するのでしょうか。
おそらく成立しません。
みなさんの発表を見て、そうなのかと気づかされました。
どちらも一人で演じていることは同じです。
しかし片や自分の中だけで完結し、発することにこだわるのに対し、
みなさんは周りの景色ややり取りをしている対象をいかに明確にし受け止めるかということに苦心するのです。
自分の外にあるものをできるだけ自分から切り離して強く想像し、
それを観ている人に明確に伝えるために感覚を開いて受け止めていく。


発表後に柳沼さんからそれぞれの作品により質を高めるための指針が告げられます。
場所に入ったときを丁寧に表現すること。
思い切って演技をすること。
つまりはその場にいる感覚を大きくすること。
周りへのイメージを細かいところまでつめていけば、単純に動きや所作が変わってくるでしょう。
またイメージから受ける度合いを強くすれば、対象をもっと明確に表現できます。
そしてそのイメージと出会う瞬間が一番の勝負なのでしょう。
次回の稽古で指針をふまえて創作したものを発表し、
その次の稽古ではみなさんのお友達を稽古場に招き10分の作品を観てもらうそうです。
初めて観る方にどんなイメージが見えてどんな反応が起こるのか楽しみでなりません。

2012年9月22日土曜日

お芝居をつくる

稽古日 2012.9.19

今回も引き続き、京都でなくなってしまったもの、こと、についての発表でした。

既になくなってしまっているものを、資料やインタビュー等から自分の中で想像し、人に伝わるよう組み立てる。

もう既になくなっているということが条件ですから、自分自身で見て確かめる事は出来ませんし、とても難しいと思います。

メンバーそれぞれが選んでくる題材が、とても多岐にわたり興味深く、みなさん個性あふれる発表でした。注目するポイントがみなさん違っていて、とても面白いなぁと感じました。発表を聞いていて、匂いを感じたり、人の思いを感じたり、音を感じたり。

今回すでに芝居の形で発表された方がいましたが、来週は全員、芝居の形で発表されるようです。ハナレズは今回、台本もメンバーで作るということで、その予行演習も兼ねているようです。始まったばかりですが、今年も進化するハナレズ、注目です。

2012年9月17日月曜日

なつかしい。イメージが湧いてくる。

前回に引き続き、京都で失われてしまったものの発表をしました。それぞれ、前回より深く調べてきており、フッと情景が湧いてくるもの、そして演劇作品になりそうなところまで進んでいるものもありました。
そして初めての発表の方もいて、非常に興味深く拝見させていただきました。

次回以降、それぞれの進度に合わせて調査、そして作品へとしていく模様です。

私は、新クラスになってからはじめての担当だったのですが、新加入メンバーの緊張もかなり解け、そして前回メンバーが引っ張っていく形でラボが進行しています。
毎回担当につけるわけではないのですが、このクラスの行く末をしっかりと見守っていきたいと思います。



2012年9月10日月曜日

「温度」に触れてくる。

休みを挟んで、2週間ぶりのラボとなりました。前回宿題に出されたことを一人ずつ発表するワークが行なわれました。ここ京都において失われたもの(無くなってしまったこと・もの)について、それぞれが他のメンバーを前にして(いきいきと)発表しました。映画館や有名な喫茶店など、なつかしさを感じさせる発表もいくつかありました。
 演出家からは「次回に向けてもっと深めてくるように!」という注文が出されました。本やwebで調べた「客観的事実」を発表するのではなく、実際にその「失われたものに関わった」人の体験や、それに対する想いなどが介在した話しを調査してくるというものです。一般的な情報ではなく、その人しか知り得ない情報、言い換えれば人の心が通う情報を探すということで、演出家のことばを借りるならば『「温度」に触れてくる』という宿題です。生の声を取材することも必要になりましょう。きっとその中からドラマにつながるような「いい話し」が出てくる予感がします。